★「新テニスの王子様」連載開始カウントダウンアップ5題  本日発売  






「ビンボー揺すり止めて下さい」
「は?」
「地殻変動でも起こしたいんすか」
同じベンチに座って靴ひもを直していた財前に言われ、白石は自分の足元を見た。
左足の下の土の色が変わっている。
「ああ、悪い」
白石は素直に謝ったが、言いたいことを言った後はどうでもいいのか、財前は知らん顔でガットの調整を始めた。

毎日のように顔を出す部活の時間に、視界に入らないヒョウ柄のせいで、白石はどうにも落ち着かない。
「なあ、金ちゃん見んかった?」
「知りませんよ」
意を決しての質問に、返ったのは温度を持たない即答だった。
「そうか」
財前の方を向いた白石の視線を右半身に受け止め、財前は言葉を継いだ。
「どうせまたどっかうろついてるんとちゃいますか」
「せやろなあ」
「静かでいいやないスか」
「あーまあなあ……」
心ない白石の相槌に財前の眉間に浅く皺が寄る。

「しーらいーしー」
呼びかけに妙な節を付けながら、二人の座るベンチに近づく者が居た。
「白石、あっちで金ちゃん木登りしてたで」
のんびりと告げられた報告に、白石が慌てて立ち上がる。
「何してるんケンヤ!止めんかい!」
「なんで?」
会話の途中に白石は独り言のように呟く。
「そういや満開や騒いどったわ」
それから、改めて会話を再開させる。
「桜は花つける枝が細いやろ、危ないやんか」
「金ちゃんなら、木ぃから落ちるくらいどってことないやろ」
事実を冷静に指摘され、白石も納得せざるを得ない。
「あっ……まあそうやな」
一瞬怯んだが、すぐに持ち直す。
「けど、折られる桜の身にもなってみい!」
「なれるか。感情移入しにくい」
苦肉の白石に、謙也のツッコミは的確だった。
「なんでもええわ、早よ行き」
謙也に許され、白石は言い訳をする必要などなかったことに今更気付く。
「ちょお頼むわ」
顧問不在の部活動を謙也に託し、白石は踵を返した。

さっきまでこっちを向いていたのに、あっと言う間にそっぽを向く視線に、財前は無意識に舌を打つ。チッ、
「びんぼくさい」
耳聡く聞き逃さない白石が行きかけた脚をわざわざ止めて、振り返った。
「財前、舌打ちやめなさい」
行儀が悪い、と部長が後輩を窘める。
(ほんまそういうとこがキライや)口に出してしまわないように財前は、唇を噛んだ。

「びんぼくさいて」
徹頭徹尾、噛み合うことのない二人の間に、謙也の声がのんびりと漂った。
「貧乏性と心配性はちゃうで、光」











お題お借りしました  蝶の籠さま
【君に抱いた5つの感想】

4、いざ静かだと落ち着かない

2009-03-04 




金太郎ver.







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まさかの金蔵(笑)金蔵、なんです
完全に見切り発車(連載終了1年後にして…)
すごい楽しかった!けど、キャラが掴めてない感がありありと
財前の呼び方…がきっと捏造です(もっと他に反省しなきゃならんとこがある)
分量の関係で金ちゃんを全部カットしました…あの可愛い子書き始めたらキリがない!
迎えに来た白石に花を降らそうとして揺らした枝が折れて花びらと一緒に金ちゃんが降ってきます