ゴンッ!ともの凄い音がして振り返った。
見れば部室の入口に、屈んで頭を傾けた千歳が固まっていた。その肩から、脚が二本生えている。
黒の短パンからしなやかに伸びた黒いシューズをはいた脚に、白石は自分の血の気がザッと引く音を聞いた気がした。
「金ちゃん!?」
慌てて、座っていた椅子から立ち上がり、入口に駆け寄る。
「千歳!お前何してんねん!」
白石は、フリーズしたままの大男を睨みあげた。
ぎしりとようやく首を動かした千歳が、そのままの体勢で二歩下がる。
案の定、千歳の肩には金太郎が乗っていて、ケラケラ笑っていた。
いがすまん!金ちゃん!」
肩に乗せた少しの重みをすっかり忘れて、千歳がやっと体が覚えた分だけの加減で腰を屈めたせいで、当然、彼の頭の上にあった金太郎の頭は、思い切り鴨居に打ちつけられた。
あんなにもの凄い音がしたのに、見上げた視線の先で、痛がりもしない金太郎の前髪の下から、赤が滴る。
「ち、血が……!」
「血?」
手を持ち上げた金太郎が自分の額に触れる。
「ほんまや」
「ちょっ! 千歳おろして!」
今の高さでは、手が届かない。せがめば、すぐに千歳は肩から金太郎を下ろしてくれた。
地面に立った金太郎が今まで見下ろしていた視線を上げて、白石を見上げる。
「白石ぃ、なめて」
「は?」
金太郎は、ん、と前髪を上げて、額を突き出した。
「なめてくれへんの?」
金太郎が何を言い出したのか白石が理解するよりも先に、金太郎が一歩前に出て更に距離を詰めた。
くれへんのん?」
首を傾げてのぞき込む。
くらりと目眩を起こしつつも、最後の理性でなんとか留まった白石が口を開く。
「金ちゃん、口ん中にはなあ、細菌がぎょうさんおるんやで。そんな不衛生なことしたらアカン」
真剣に言い含める白石を金太郎は不満げに見やる。
バイキン入ってまうやろ。救急箱出すからちょおじっとしとき」
すぐにでも離れて行ってしまいそうな白石を金太郎は不満を隠さず見返した。
ーーー」
「口尖らせても駄目。可愛いからやめなさい」
「むーー」
更に頬を膨らませた。
ール無用のルーキーに手を焼くことを白石は決して煩わしいとは思わない。
口を尖らせたままの彼の表情に、頬を緩ませる。
「痛いの痛いの、とんでけ」
呪文を唱えた白石が膨らんだ頬に、唇で触れた。








2010-08-29
グッコミ配布ペーパー


あーーー!時間なさ過ぎて整えられてない!中途半端でごめんなさい。
きんくらーずよろしくお願いします!みんながんばれ!ちょう応援してる!