既刊ゴリラ本設定 猫編ネタ現代パラレル
不親切ですみません、平たく言うと、銀時猫とヅラ猫(原作)と坂本が一緒に暮らしてます。
メインの沖近を現代設定にしてるため、それに引っ張られて一応設定は現代です。
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「また今日はずいぶんとご機嫌じゃな」
「陸奥、聞いとおせ!」
話し掛けたわけではない、ただの呟きを都合のいいときだけ耳聡く拾った男がもの凄い勢いで陸奥に詰め寄った。
ぐわっと近づいた大男に、陸奥が顔を顰める。
「うっとおしい」
「聞いといてそれはなかろう」
「言いたきゃ、早よしゃべらんかい」
わざとらしく情けない声を出す坂本に、イラッとした陸奥が冷たい声で、それでも促してやると、坂本はだらしなくニヤけた。
「うちの猫たちがあな!プレゼントをくれたんじゃ!」
「は?ネズミか何かか?」
「うちの猫たちをそんじょそこらの猫と思ったらいかんぜよ」
フフンと自慢げに鼻を鳴らす坂本に、陸奥は鼻白む。
「辰馬、」
「ん?」
「うっとおしい」
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二足で立った黒い猫が忙しそうに動いていた。
ふと、手を止めて後ろを振り返る。
「銀時、こんなものか?」
ソファの上に寝ころんで、厚いマンガ雑誌を読んでいる白い猫が視線も上げずに答えた。
「あ?いんじゃねーの、なんでも」
「貴様!ちゃんと協力せんか!」
「はいはい、やってるよー」
器用にマンガのページを捲りながら適当なことを言う白猫に向け、
「ケーキやらんぞ」
ボソッと黒猫が言えば、ガバッと白猫が立ち上がった。
「ヅラ!ちんたらやってんな!もっと気合い入れてけ!そこ飾りが曲がってっぞ!」
「ヅラじゃない桂だ!どこだ?どこが曲がってる?」
「そこだ」
「おっほんとだな、これでよし、と」
「ケーキはちゃんと生クリームだろうな!ケチってバタークリームとかにすんじゃねーぞ!」
「バタークリーム美味いじゃないか」
「美味いけど!誕生日とクリスマスは生クリームって決まってんだよ」
「そうなのか。覚えておこう」
「で、ちゃんと生クリームだろうな?」
「ああ、抜かりない」
「マジでか!半分は俺が食べて構わないよな!」
「どういう計算だ、高杉も来るだろうから三分の一ずつだ」
「あいつ来んの!?何しに!?」
「知らんのか、あいつはあれで祭好きなんだぞ」
「祭か?これ……いや!そんなことより!だいたいあんなちまいのに三分の一も食えるかよ?」
「大丈夫だ!あれは案外意地汚い」
「……お前、いつも変なとこで自信満々だよな」
「こないだ、俺がうっかり落としてしまった食べかけの煮干しを拾って食べていた」
「へ、へえー……」
「それから、」
「まだあんの!?もうやめたげて!わかった!俺とお前と高杉で三分の一ずつな!なんか忘れてる気もするけど、もういいや」
「ふふふ銀時、これだろう?」
含んだように笑う黒猫が首にしているスカーフをごそごそと触り、取り出したものを白猫に見せた。
「なんだそれ?」
「高杉に借りておいた燐寸だ」
「ああ、ローソクか」
「あいにく蝋燭は切らしていてな…しかし、きちんと代わりのものを用意してある!」
「ふうん?」
「これだ」
「なにそれ?どのへんが代わり?」
「なかなか愛嬌があるだろう?じゃすたうぇいと言うらしい」
「まあなんでもいいや」
ケーキ以外のことに興味を向けない白猫の返事を聞きながら、黒猫は部屋の時計を見上げた。
「そろそろだな。いいか銀時、部屋の電気を消しておいて、坂本が帰って来たらすぐに火をつけるから歌うのだぞ」
「あっ!坂本!!」
ハッとしたように腫れぼったい瞼を持ち上げた白猫の声に、黒猫は眉をしかめる。
「なんだ急に大声を出して。今日の主役だぞ、まさか忘れていたわけではあるまい?」
「……マサカ。つうかお前も大概だよなあ」
「なんの話だ」
「いや、別に」
ピクリ、と猫の耳が四つ、拾った遠くの音に反射的に揺れた。
「来たぞ。銀時わかっているな」
「おう」
「たーだいまーあ」
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「昨日帰ったら、家が爆発しちゅう。わしの誕生日じゃあて猫たちがはしゃぎよっと。可愛かろう?おかげで今日は頭がチリチリじゃ」
わはははは!と上機嫌に笑う坂本を陸奥はじっと見上げた。
「……いつもとまったく変わらんぞ」
2009-11-15
HAPPY BIRTHDAY!! dear 坂本辰馬
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高杉はネズミです(笑)
針鼠は、大河ドラマ「龍馬伝」と、それにかこつけて今年中に出番をもらえるに違いない坂本辰馬を全力で応援しています!