「夏生まれには見えないと、よく言われまさァ」
「え、そーか?」
「どうでもいい話ですけどね」
「夏でも冬でも総悟は総悟だろ」
「……そういうんじゃなくて、ただ似合わないって話でしょ」
「似合わない?」
「夏の明るさやら強い日差しやらが」
「キラキラしてキレイだぞ」

「はあ?」

「総悟の髪は色が薄くて細いから、お天道さんが照ればキラキラしてキレイだ」

「……人をハゲみたいに言わないでくだせェ」
「ぶははは!そんなことは言ってないだろ」
近藤が沖田の髪をわしゃわしゃと混ぜる動作はとても自然で、沖田を安心させる。
「ちょっ!痛たい!痛てえ!マジでハゲる!」

加減を間違えている力で上からぎゅうぎゅうとされて、痛いのも本当だが顔が上げられないことが一番嫌だった。
笑う近藤の顔が見えない。

「似合うと思うけどなあ、総悟に太陽」
やっと力が緩んだところを逃さず、沖田は顔を上げる。
手の届く距離に居る近藤をじっと見上げた。
「そんなこと初めて言われやした、それがホントだとしても…」
アンタほどじゃあない、と沖田は口には出さず思う。

近藤こそ、天にあるそれよりもよほどそれらしく、まぶしく圧倒的に輝く。
むかしからずっと沖田の世界を照らしてきたのは、その光だ。
「嘘じゃないぞ」
「そんなこと、」
知ってる、この人の言葉だけが沖田にとっていつでも真実だった。

もう一度、近藤が沖田の頭に手を置いた。今度は力を入れず軽く乗せるだけ。
「総悟、たんじょーびおめでとう!」
日輪が言祝ぐ。

(ああ、俺の世界はまだ明るい)
「ありがとーございます、今年は何くれるんですかィ?」
「ふふふふ、楽しみにしてろー!ちゃんと用意してあるぞ!」
近藤のプレゼントが的を射ていた試しはない。
それでも、それが楽しみなのも、嬉しいのも、幸せなのも、沖田の真実だ。







2008-07-08 
HAPPY Birthday! dear 沖田総悟 
(沖近 日輪編 自給自足)
一連の原作が終わってからあれは吉原炎上編 というのだと知りました……どんまい